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日本都市計画家協関西一周年記念セミナー「関西発の新たな都市計画を語る」

関西からの新しい都市計画の試みや提案の発信を目指して、昨年11月に発足 したNPO法人日本都市計画家協会関西支部(小林郁雄支部長・神戸山手大 学教授)が一周年を迎えた。これを記念した「関西まちづくりセミナー」  関西発の新たな都市計画と専門家の使命 が23日、大阪市中央区の大阪証券 取引所ビル・北浜フォーラム会議室で開かれた。同セミナーでは、都市計画 に取り組む土木、建築、造園など専門の学会や組織を代表する六名がパネル ディスカッション型式の座論で、「新たな都市計画の使命」について各分野 の意見を提供。今後の都市計画の展開や方向性について、出席者60人も熱心 に耳を傾けた。
冒頭、小林支部長が「支部発足の目的は、都市計画ホールディングスという各分野の緩やかなつながりによ って、今後の役に立つ都市づくりを皆さんといっしょに考えていこうというもの。各分野を代表する皆さん から現在の新しい都市計画の話を聞かせてほしい」とあいさつ。続いてイントロダクションで支部活動の1 年を振り返り、富田林市・寺内町のまちづくりについてシンポジウムや見学会、京都市・新景観政策につい て京都視察や交流セミナーを開催し、関西のまちづくりのネットワークが徐々に広がっている現状を紹介し た。 この後、「関西における今後の都市計画の展望」をテーマにパネルディスカッションを開催。参加したパネ リストは ▽阪急不動産?専務取締役の高橋秀一氏 ▽都市環境デザイン会議関西ブロック幹事の千葉桂司氏 ▽日本造園学会前会長の中瀬勲氏 ▽日本都市計画学会前会長の鳴海邦碩氏 ▽NPO法人地域デザイン研究会理事長の平峯悠氏 ▽土木学会関西支部前支部長の星野鐘雄氏(50音順)の6名。 コーディネーターは同関西支部の小林支部長が努めた。 はじめに平峯氏が新たな都市計画のキーワードとして、「人間再生、環境、交通、街路」を挙げ、「いま人 間として当たり前のことが出来ていない。都市計画で行政の力は無視できないが、ネットワークとして働く 役割が出来ていないと閉鎖的な役人世界になる。また、世代間でも価値観が異なる。世代間でどう価値観を 繋いでいくか、今後の大きなテーマだ」と指摘した。 千葉氏は、まず京都市の景観条例にふれ「行政の強い政治的な意識を感じた。景観政策に市民の意見が反映 され、市民の層が広がっていくのを期待したい。これからは景観問題が中心になるだろう」と景観の大切さ を訴えた。さらに「歴史的な都心が衰退しているを放っておけない。御堂筋の両脇にある船場は、ほとんど の地域が都市計画されておらず、いま所有者の思いのまま使われている。歩いていても楽しくないだろう。 超高層マンションも増え、街の骨格が壊されてきている」と船場のまちづくりに危機感を募らせた。 星野氏は、公共交通と街づくりの立場から中心市街地の活力創出、乗り換えなしの直通運行の重要性を指摘 した。その中で21世紀のキーワードとして、「少子高齢化、環境、資源、安全・安心」を挙げ、「公民協働 の総力戦が必要」と強調。整備中の大阪外環状線、京阪中之島線、阪神西大阪線に期待を寄せたほか、「北 陸新幹線は東海道新幹線の異常時の代替ルートとしての機能を有している」と未着工となっている北陸新幹 線の必要性などを語った。 高橋氏は、デベロッパーの観点から大規模開発の彩都や宝塚ファミリーランド跡地開発などを事例に「官か ら民の流れを活用して、いま街の姿が変わりつつある。マンション建設では容積率いっぱい、価格も高けれ ばいいというデベロッパーに任せておけば、もう後戻り出来なくなるだろう。やはり行政がきちんと誘導す ること。また、都市計画はロングスパン、広域的にみていかなくてはいけない。消費者側に対しても、街の 本当の価値やよさはどこにあるのか、教えていく必要があるのでは…」と力説した。 鳴海氏は、「行政が求められているのは調整力。街づくりの主治医と都市計画の専門医であるという自覚を 持ってもらいたい」と行政の役割にふれた後、日本都市計画学会会員のコラボレーションによるスキルアッ プ塾を紹介し、「大学で出来ないことが可能になる」と大きな期待を寄せた。さらには「都市は総合的なも の、人生そのもの。ある特定の技術者の寄せ集めであってはいけない」と強調した。 中瀬氏は、人と自然の新たな関係の構築について解説し、コウノトリ自然博物館計画や恐竜を生かした街づ くりなどを紹介しながら「外来種や自然の地形をどうとらえるか。自然環境のデータベース化が必要で、他 の生き物と共存できる都市計画を」と、小さな子どもたちも参加できるユニークな構想を分かりやすく語っ た。 パネルディスカッションを終えて小林支部長は、「都市計画は、各分野の専門家からお互いに教えられた り、教えたりしながら考えていくことが大事だ。従来の都市計画のみならず、きょう提供していただいた貴 重な意見を私たちも期待を持って活動に生かしていかなければならないと感じた。今後は、さらに幅広い分 野に参加していきたい」と語っている。
2007年11月30日
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