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兵庫県立太子高校、耐震補強工事が完成

兵庫県立太子高等学校 耐震補強その他建築工事が完成 安全・安心・快適な教育環境を創出 安全・安心・快適な教育環境を実現―。兵庫県が、入札時VEおよび設計・施 工一括発注方式によって推進している県立高等学校耐震補強工事の一環とし て、「兵庫県立太子高等学校」において進めていた耐震補強その他建築工事が 完成し、教育環境が大きく向上した。外付け鉄骨ブレース工法と、CFアンカ ー併用炭素繊維シート接着工法(SR−CF工法)のVE提案を行った安藤・ 進藤・永岡特別共同企業体が施工を担当し、本館棟、2号館棟、格技場、集会 室棟の耐震補強などを安全第一に推進。学校の運営に支障を来さない工程の確 立や工期の短縮を図りながらVE提案の意図を具現化し、多くの関係者から寄 せられていた全幅の信頼に応えた。 【写真上は太子高等学校の本館棟、写真下は茶道実習などもできる作法室】 《「総合学科」(2007年度開設)への準備も進む》
兵庫県の南西部に位置し、瀬戸内海性の温暖な気候に恵まれている太子町。豊かな自然と温かな人々が織りな す聖徳太子ゆかりのまちで、文化の香り高き伝統が風土として息づいている。まちづくりの基本目標である 「和のまち太子」の実現に向けて、各施策を積極的に推進している太子町の玄関口であるJR「網干」駅から 北へ約10分の兵庫県揖保郡太子町糸井字糸井池19番地に位置する「兵庫県立太子高等学校」は、1970年4月1 日に「兵庫県立龍野実業高等学校太子分校」を吸収し、定時制通信制教育モデル校として発足。この後、地域 に根ざした全日制普通科高校として、国際コミュニケーションコースを中心に、広い視野を培い、自己の夢を 育む教育を推進している。 また、校訓として掲げる「自律進取・和衷敬愛・質実剛健」の精神に基づいて、人間としての在り方・生き方 について考える姿勢を涵養するとともに、生涯学び続けるための基礎を培い、21世紀を主体的に生きることが できる「こころ豊かでたくましい人間」の育成に努めている「兵庫県立太子高等学校」は、県立高等学校教育 改革第1次実施計画により、西播磨地域では初の「総合学科」の高校に改編されることになり、現在、07年の 開設に向けて準備が着々と進んでいる。 一方、兵庫県においては、阪神・淡路大震災の発生時に、学校施設の多くが地域の避難所になった教訓を踏ま えた対応策を講じることとし、県立高等学校の耐震補強については、入札時VEおよび設計・施工一括発注方 式による工事費の縮減を図りながら、04年度には姫路工業高校、姫路南高校、太子高校、洲本高校、淡路盲・ 聾学校、猪名川高校、伊丹高校、飾磨工業高校の8校において耐震補強その他建築工事を進めることとした。 その1つである兵庫県立太子高等学校では、本館棟(71年竣工)、2号館棟(70年竣工)、格技場(78年竣 工)、集会室棟(81年竣工)の耐震補強を推進。色彩計画については、鉄骨ブレースが外観上において重要な 役割を果たすことから、外壁色、鉄骨色、面台防水色をすべて既存建屋色に統一して調和を図っている。 また、普通教室棟、特別教室棟についても、学校の特色化を図るための改修工事が行われる中、総合学科への 改編が発表された。総合学科の多様な学びを支えるのにふさわしい施設・設備の充実に向け、教育環境は大き く向上した。 ?学びたいことが学べ、自己の夢を実現する学校?として、07年度から新しい歴史と校風を刻んでいく「兵庫 県立太子高等学校」。それに先立って安全・安心・快適な学舎の使用がすべて始まり、生徒は恵まれた教育環 境下において自己実現を図り、個性を磨いていく。 ---------------------------------------------------------------- 《安藤・進藤・永岡特別共同企業体 VE提案の意図を具現化》 信頼に応える高品質確保 兵庫県では、限られた財源で効率的な事業を推進するため、民間の技術力を活用した多様な入札・契約制度の 導入・拡充を推進。04年度に発注した8校の県立高等学校耐震補修工事についても、新工法の開発等が著しい 民間の技術提案を求め、工事費の縮減を目標とする入札時VE(価格競争方式)および設計・施工一括発注方 式(総合評価落札方式)を行って落札者を決定した。 その初年度工事の1つである県立太子高等学校耐震補強その他建築工事においても、兵庫県が示した標準案の 耐震工法(外壁開口部室内側に鉄骨ブレース、鉄筋コンクリート造耐震壁、あと施工アンカー)に対する技術 提案を求め、▽施工の確実性・安全性▽施工中の騒音・振動の軽減▽施工後の耐震性能の確保▽施工後の性 能・機能の確保―を基準とするVE提案を義務づけて審査を実施した。 この結果、外付け鉄骨ブレース工法と、CFアンカー併用炭素繊維シート容着工法(SR−CF工法)のVE 提案を行った安藤・進藤・永岡特別共同企業体が施工を担当することとなり、本館棟、2号館棟、格技場、集 会室棟の耐震補強ならびに普通教室棟、特別教室棟の一般改修を安全第一に推進した。 「教育の場における工事であるため、施工に当たっては、学校運営に支障を来さない工程の確保、工事施工方 法を選定し、安全を最優先させながら高品質を確保していく」という作業所方針に基づき、庄司恵一所長をは じめとするJVならびに各協力会社の有能なスタッフが一丸となって取り組んだ工事が本格化したのは昨年2 月。格技場の耐震改修から着手した。鉄骨造の建物本体をブレス補強ならびにプレートの追加などによって耐 震性を向上させる工事が完了し、部分使用が開始されたのは昨春の4月25日。これに先立って、同月初旬から 開始した本館棟の耐震補強についても順調に進捗し、8月25日から部分使用が開始されるに至った。なお、夏 休み期間中には、これとラップして普通教室棟と特別教室棟の一般改修も実施し、本館棟と同日に部分使用を 開始した。 この後も、2号館棟、集会室棟の耐震補強をこれまでと同様に学校行事を優先させながら推進し、兵庫県・学 校関係者ならびにPTA、同窓会などから寄せられていた期待と信頼に応えた安藤・進藤・永岡特別共同企業 体。VE提案についても、様々な効果をもたらした。その1つである外壁開口部室内側への鉄骨ブレース工法 から外壁外付け鉄骨ブレース工法へのVE提案は、既存部分を可能な限り残して耐震補強を行うことを目的と するもので、工期の短縮および補強前と変わらない室内空間の確保が可能となる。 鉄骨ブレース補強箇所数の検討、ブレース架構のF値の確認、回転・曲げ耐力の検討、あと施工アンカーの本 数と仕様(径と削孔長)の検討、圧縮ブレース十字部分の座屈検討を行い、標準案と同等以上の補強効果が期 待できることを確認した上でスタートした作業は、外部仕上げ材の解体(構造躯体の露出)から着手。外付け 鉄骨を構造体と緊結するため、鉄骨部のモルタル仕上げを除去し、この後、あと施工アンカー打設前に既存鉄 筋探査を実施して既存鉄筋の位置をかわしながら、あと施工アンカーの打設位置を決定した。 あと施工アンカーの打設では、接着系アンカーをコネクタとして打設。その際に、内ブレース形状から外ブレ ース形状にVEしたことによってアンカー筋有効埋め込み長さも変更した。また、非破壊検査をアンカー数に 応じて実施。アンカーボルト鋼材の降伏で決まる引張力、定着したコンクリート躯体のコーン状破壊で決まる 引張力、アンカー付着力で決まる引張力のうち、いちばん小さな値のアンカー付着力が決まる引張力で試験を 行い、固着力を確認した。 スパイラル筋配筋では、割裂防止スパイラルを、あと施工アンカーに固定。しかし、「鉄骨建方に際しては、 鉄骨内側ウェブに打たれているコネクタ用スタッドと、あと施工アンカーが、このスパイラル筋をとおして干 渉したため、真横からの設置に苦労した」(庄司所長)。なお、無収縮モルタルの日常管理は、材令28日で強 度を確認した。 一方、CFアンカー併用炭素繊維シート接着工法(SR−CF)の採用により、ハツリ工事の量が減り、騒 音・振動・粉塵の発生を抑制することができるのをはじめ、資材が軽量で大がかりな機材が不要となるばかり でなく、既存躯体を残した形で作業できるので、工期の短縮にも繋がるというメリットが生じた。 CFアンカー併用炭素繊維シート接着工法(SR−CF工法)は、炭素繊維シートとエポキシ樹脂の組み合わ せで、既存部材を閉鎖型に拘束し、せん断力、靱性を改善するもの。柱の補強では、独立柱の柱表面に炭素繊 維シートをフープ状に巻き付け、エポキシ系樹脂を含浸させてCFRPを形成させ、せん断力、付着耐力なら びに靱性能の向上を図った。梁の補強においても、柱と同様に梁表面に炭素繊維シートをスタラップ方向に巻 き付けたが、その際には、スラブを貫通させてCFアンカーで梁を閉鎖型に拘束した。 VE提案による様々な効果のうち、外付け鉄骨ブレースの採用では、施工性が向上するとともに、確実で安全 な施工が可能となり、開口部の有効面積、内部空間の確保にも有利となった。CFアンカー併用炭素繊維シー ト接着工法の採用によるメリットは、安全性の向上ならびに騒音・振動の大幅な軽減が実現したこと。また、 既存躯体を残すことで、全体工程の短縮にも寄与した。 入札時VEを伴う耐震補強工事において、大きな成果を収めた安藤・進藤・永岡特別共同企業体では、学校運 営に支障を来さない工程の確立、第三者災害の防止をはじめとする安全管理活動にも万全を期し、有終の美を 見事に飾った。 --------------------- 庄司恵一所長の話=6つの校舎の改修で、その度に仮設状況を変化させ、安全を確保していくことに力を注 ぎ、無事竣工を迎えることができました。これも偏に、兵庫県、学校関係者ならびに同窓会をはじめとする多 くの関係者のご支援の賜物であります。また、私自身、太子高校の学舎工事に携わることができて、大変光栄 に思います。今後、太子高校が、地域の発信基地であること、新たな輝かしい歴史を築いていくことを願って います。
2006年02月24日
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