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竜華水環境保全センター、水処理工事が完成

寝屋川流域下水道竜華水環境保全センター水処理施設等土木工事(その4) が完成 大阪府東部流域下水道事務所が、旧国鉄の竜華操車場跡地を利用する大阪竜 華都市拠点地区内の西側約4.2haの敷地(八尾市竜華町2丁目)に建設を進め ている「竜華水環境保全センター」(4月からは竜華水みらいセンターに名 称変更)の水処理施設等土木工事(その4)がこのほど完成した。その1、 その2、その3工事を引き継ぎ、南北85m、東西287mの地中連続壁内部におい て466本の場所打ち杭、196本の桟橋杭の打設ならびに掘削、場内管路工の施 工を近畿建設・島田組共同企業体が担当したもので、全工期無事故・無災害 のうちに高品質を確保。多くの関係者から寄せられていた全幅の信頼に応え た。 【写真上:水処理施設等土木工事(その4)は、近畿建設・島田組JVが南 北85m、東西287mの地上連続壁内部において466本の場所打ち杭、196本の桟橋 杭の打設などを推進した/写真下:場所打ち杭(アースドリル)打設状況 (2005年7月)】
《水処理施設築造工事へバトン》 「環境の世紀」、「水の世紀」ともいわれている21世紀における下水道事業は、「集め、処理して、流す下 水道から、安全で快適な暮らしを生み出し、地球環境を守っていく下水道」への転換が強く求められてお り、下水汚泥をはじめとする資源の有効活用、合流式を改善する研究や対策などと積極的に取り組んでい る。PI(パブリック・インボルブメント)も踏まえながら、国民生活を向上させていく下水道事業を取り 巻くこうした流れの中で、広域的閉鎖性水域である大阪湾や瀬戸内海に面しているばかりでなく、我が国最 大の淡水湖・琵琶湖を懐に抱えている近畿圏の各府県においては、流域下水道を柱とし、公共下水道との連 携も巧みに図りながら下水道整備を推進。この結果、福井県を含めた2004年度末現在における近畿圏の下水 道普及率は、全国平均(68.1%)を上回る81.1%に達している。 「豊かで安心して暮らせるまちづくりと持続発展可能な循環型社会の創出」を基本理念とする「21世紀の大 阪府下水道整備基本計画(ローズプラン)」に基づきながら、下水道整備を計画的に進めている大阪府の 2004年度末現在における下水道普及率は90.1%。今年で40周年を迎えた流域下水道事業については、猪名 川、安威川、寝屋川、淀川右岸、同左岸、大和川下流、南大阪湾岸の7流域(12処理区)において事業を進 めている。 このうちの寝屋川流域下水道事業は、1965年に全国に先駆けて事業に着手したもので、地理的条件によって 北部流域(鴻池処理区)と南部流域(川俣処理区)に分けて事業を推進。また、寝屋川流域都市水防災計画 に基づき、下水道の雨水排水能力のレベルアップにも取り組んでいる。 大別すると、急峻な地区と広大な平野部に分けられる寝屋川(南部)流域は、浸水対策と水質保全を目的と して1966年に事業に着手し、1972年から供用を開始したもので、計画区域は大阪市、東大阪市、八尾市、大 東市、柏原市、藤井寺市の六市。計画概要は、処理面積が8,917ha、処理人口が85万4,000人、処理水量が49 万3,700立方メートル/日となっており、中枢を担う「川俣処理場」(4月からは川俣水みらいセンターに名 称変更)は、現在、38万立方メートル/日の処理能力を有している。寝屋川(北部)流域と同様に、下水排 除方式については合流区域と分流区域に分かれており、合流式の区域は「川俣処理場」、分流式の区域は 1996度に同処理場の補完施設として新たに都市計画決定し、現在、建設を進めている「竜華水環境保全セン ター」(4月からは竜華水みらいセンターに名称変更)で汚水処理を実施する。 《約138,000立方メートルの汚水を高度処理》 建設地の大阪市竜華都市拠点地区は、近畿自動車道や大阪中央環状線の広域的な幹線道路に隣接するととも に、JR関西本線と大阪外環状線鉄道の結節点となるJR久宝寺駅前に位置しており、大阪府における内陸 環状都市構想の拠点として複合機能を備えた新たな都市核の形成を図る地区。寝屋川南部流域下水道計画に 基づき、大阪市・八尾市・柏原市・藤井寺市より集められた1日当たり約13万8,000立方メートルの汚水の高 度処理を行う「竜華水環境保全センター」は、旧国鉄の竜華操車場跡地を利用する大阪竜華都市拠点地区内 の西側約4.2haの敷地に設けられる。地下式の分配槽、最初沈殿池、生物反応槽、最終沈殿池、生物膜ろ過 池、汚泥貯留槽、塩素滅菌池で構成される「竜華水環境保全センター」の水処理は、嫌気・無酸素・好気法 +生物膜ろ過による高度処理で行い、高度処理水については、大阪市竜華都市拠点地区内のトイレ用水やせ せらぎ用水として利用するほか、河川の浄化用水としても利用する計画。なお、汚泥処理は、川俣処理場へ 圧送して行う。 《近畿建設・島田組共同企業体》 寝屋川流域下水道竜華水環境保全センター水処理施設等土木工事(その4)工事は、その1、その2、その 3工事によって施工された南北85m、東西287m地中連続壁内部の掘削盤(GLマイナス15.0mから18.8m)にお いて、本体工として場所打ち杭・桟橋杭の打設および掘削・残土処分を行うとともに、場内管路工を併せて 施工したもので、近畿建設・島田組共同企業体が全工期無事故・無災害で高品質に完成させた。 山鹿正幸所長をはじめとするJVならびに各協力会社の有能なスタッフが一丸となって取り組んだ工事は、 本体工事に先立って2004年12月から場内管路工ならびに特殊マンホール工に着手。川俣処理場への配管工事 では、発進・到達立孔の締め切り綱矢板を施工した後に、内部を文化財調査の人力掘削で床付けまで掘り下 げ、砕石、均しコンクリートの基礎工を施工。次に、泥土圧式中口径管長距離推進工法で1,000?の推進工法 用鉄筋コンクリート管を圧入した。配管挿入台車を使って推進管内部にダクタイル鋳鉄管(300?1本、250 ?2本)の布設を行ってからは、立坑内の配管、推進管のエアモルタル充填および曲管保護コンクリートを 施工し、1次埋め戻しをソイルモルタルで実施。空気弁室を築造してから2次埋め戻しを行い、特殊3角蓋 を据え付けて場内管路工は無事に完了した。また、長吉ポンプ場への配管布設のための特殊人孔は、10.1m× 9.4m、深さ17.8mの立坑内部に、内径7.0m、壁厚60cm、壁高14.4mの鉄筋コンクリート人孔を築造して無事に 完了した。 《場所打ち杭・桟橋杭を精密打設》 一方、本体工については、昨年5月のゴールデンウィーク明けから工事車両および重機等のトラフィカビリ ティーを確保するための地盤改良に着手し、6月より仮設桟橋の施工を開始。横断部ならびに増設部の下杭 (350H鋼)196本の打設は、プレボーリング根固め工法を採用して3点杭打ち機で行い、アースオーガで所 定の支持層まで削孔した。その後は、根固め液および杭周固定液をグラウトポンプでオーガスクリューの軸 芯を通して注入しながらオーガスクリューを引き上げ、350H鋼の建て込みは、鉛直精度を確認しつつ慎重に 挿入を行い、高さを合わせて固定した。場所打ちコンクリート杭の打設は、7月から10月にかけて推進。ア ースドリル工法による杭頭補強にリブ付鋼管を使用した拡底杭と標準杭(径1,200から2,200?、長さ11から 16m)を合計で466本打ち込んだ。 9月に迎えた最盛期には、杭打ち機4台を導入して施工した杭打ちは、天候に恵まれたこともあり、1日当 たり二本の打設ペースを確保して順調に進捗。最初は、杭打ち機の位置を合わせドリリングバケットでスタ ンドパイプ建て込み用の掘削を行ってスタンドパイプを建て込んだ。孔壁崩壊防止用安定液については、各 杭打ち機毎に場内プラントにおいて製造。粘性試験、比重試験、PH試験、膜厚試験などによって品質を確 保した安定液を注入しながらドリリングバケットで掘削し、ボーリングデータと掘削土砂による支持層の確 認を経て軸部掘削が完了した。この後は、拡底バケットに交換して拡底掘削を推進。拡底バケットは、縮め た状態で投入し、所定の深さまで挿入した時点で徐々に拡げながら拡底掘削を進めた。深度を確認してから は、超音波測定装置による孔壁の出来型を確認し、場内に加工場を設けて製作した鉄筋篭を鋼管と一体化し て建て込んで所定の位置にセットした。水中ポンプでの2次スライム処理完了後には、トレミー管を使用し てコンクリートを打設。コンクリートの硬化を待って現場発生土で埋め戻しを行い、スタンドパイプを引き 抜いて杭の築造は無事に完了した。 11月からは、掘削工に着手。掘削、積み込みは、1.2立方メートルのバックホウで行い、約1万2,000立方メ ートルにおよんだ発生土砂については、1日当たり約600立方メートルを30台の10tダンプトラックで指定処 分地の阪南2区へ搬送した。こうして、寝屋川流域下水道竜華水環境保全センター水処理施設等土木工事 (その四)工事は、約2カ月間の工期短縮を実現して完成。この間、近畿建設・島田組共同企業体では、品 質管理、周辺環境への対応ならびに安全の確保に対する万全の対応策を講じて真摯な取り組みを展開してい た。このうちの品質確保においては、コンクリートの品質を確保するため、現場コンクリート試験を各杭打 ち機毎に午前と午後とに各1回づつ実施。また、466本中、50本の杭については圧縮強度試験を行って強度確 認を行い、すべて基準値をクリアした。周辺環境への対応としては、鉄筋、鋼管、生コンクリートなどの資 材搬入時における粉塵対策にとりわけ留意。現場内に洗車設備を設置してタイヤ洗浄を励行するなどして抑 制に努めた。 《全工期無災害も達成》 また、第3者災害の防止や、工事用車両の安全確保のため、特に、現場と中央環状線間においては速度制限 を徹底するなど、搬入ルート内の安全性の向上に積極的に取り組んだ。現場内においては、重機災害の防止 を重点項目として定め、緻密な活動を展開。特に、誘導員の配置計画には細心の注意を払い、指示の徹底に よって輻輳する工事用車両の事故防止も図った。この結果、6万4,000時間におよぶ全工期無事故・無災害を 達成して高品質施工に花を添えた近畿建設・島田組共同企業体。今後、本格化していく水処理施設築造工事 に、?安全のたすき?をしっかりと渡した。 山鹿正幸所長の話=竜華東西線の一角に、建設現場を一般の方たちが気軽に見ることができる見学者スペー スを設けるなど、土木工事に対する理解の促進にも寄与しながら安全第1に進めた工事の竣工を、全工期無 事故・無災害で迎えることができたのは、大きな喜び。これも偏に、東部流域下水道事務所をはじめとする 関係各位のご支援・ご指導の賜であり、深く感謝申し上げます。
2006年03月10日
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