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「あすなろ夢建築」第16回大阪府公共建築設計コンクール表彰式

◇◇◆「建築は生活の舞台」テーマに古谷教授が記念講演◆◇◇ 「あすなろ夢建築」第16回大阪府公共建築設計コンクールの表彰式が22日、大阪市中央 区の大阪府建築健保会館で開催され、「建築は生活の舞台」をテーマに、建築家の古谷 誠章・早稲田大学理工学部教授が記念講演を行い、多数の参加者が熱心に耳を傾けた。 古谷教授はまず、建築について「ひとつひとつの建築を建物としてだけではなく、人と 建築という視点で捉え、お互いがどのような関係なのかを考えることが重要」とし、 「自分が居るこの場所を起点に、その先の他の空間を連想することも求められる」と前 置きしてから、自作についての解説などをスクリーン投影を交えながら進めた。
この中で古谷教授は、「人間は常に多くの物を身にまとっている。それは衣服にとどまらず、部屋、家に広が る。家は庭に、そしてまちに囲まれ、まちは都市に、都市は自然に囲まれている」とし、地球温暖化が進む昨 今について「二酸化炭素が着膨れし、地球が様々な重ね着をしている状態。我々はこれを意識しながら生活し なければならない」とした上で、「すべての大きな生活環境デザインへとつながる建築が果たすべき役割とは 何か、をいつも考えている」と語った後、海外の気候風土や生活習慣と密接に関係する家の構造、まちなみの 事例について紹介した。 スイスの石積の民家はすべてが隣近所からの資材でできあがっているので自動的に同じような色、形になり、 周囲と調和していて窓の大きさ一つにしても工夫がこらされ、また斜面に立つ集落はその特性を活かし、どの 家からも景色がさえぎられないような配慮がなされている。モンゴルのゲル(家)では、一番近い家でも2か ら3?離れているため、家が人と人が出会う場所として重要な意味を持ち、内部には間仕切りはなく、「学ぶ べき点は多々ある」という。東南アジアでは真ん中に線路があり、電車が通る時間だけ店を片付け、通過する とまた店を出す形態のマーケットが実在する。このような事例に古谷教授は「計画しマスタープランを経て出 来上がるものではなく、人々が次第次第に何となく作り上げていったもの。整然と整理された合理的なものよ りもいきいきとしていて、ヒントが色々ある」。 続いて2世帯住宅や病院などの自作についての紹介に入り、古谷教授はホスピスが併設されている病院につい て「短期間であっても入院する人にとっては生活空間」としホスピスに関しては「普通病棟から遠ざけると距 離が広がってしまうので別棟とせず、全体と繋がり連続したひとつのまちとなるようにした」と振り返り、 「ナースステーションは4方8方から出入り可能とし入院患者との距離が近づくよう工夫した」、また内科病 棟は「プライバシーが守られない大部屋を少しでも快適に過ごせるようサンデッキ型病床を考案した」と紹介 した。 その施設をより地域住民に理解してもらうため、設計中の段階からワークショップを1年間に渡り開いたとい うアンパンマンミュージアムでは、開館後の運営が円滑に進んでいるといい、「公共施設を建設する時、竣工 までのプロセスが仮囲の中だけで進み、周囲にわからないまま行われるのはもったいない話。みんなが情報を 共有すれば、やがてコミュニケーションが生まれ、一体となれる題材となる」とその可能性を示唆した。 また、コンクール入賞作品受賞者や学生が数多く含まれた参加者に対しては「コンペが大好き。初めの頃は全 くだめだったが、一旦入賞しはじめると次々入賞しはじめる」「落選しても気落ちせず、その時の気持ちを次 に活かせば良い。落選した自分の作品の中に次につながるきっかけが必ずある」と激励し、「自分の快適な場 所を見つけたいという発想を大事に、これからも仕事に取り組みたい」と今後の方向性を述べ、講演を締めく くった。
2007年04月02日
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