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「これからの社会資本整備の戦略」 国土交通省の谷口博昭技監が講演

◇◇◆いまこそ公共投資の増額を、国際競争力低下を懸念◆◇◇ 近畿地方整備局は13日、国土交通省の谷口博昭技監を迎え、奈良県文化会館 国際ホールで「これからの社会資本整備の戦略」講演会 近畿を支える社会 資本整備は大丈夫か を開いた。谷口技監は、欧米、中国、韓国が公共投資 を毎年増額して、道路、港湾・空港施設などを整備している現状にふれ、 「日本も公共投資を増やし、必要な社会資本整備は早急に進めないと国際競 争力で海外に勝てない」との認識を改めて強調した。
また、国内でも道路ネツトワークが拡充されて産業集積が活発化している東海地域と近畿圏を比較して、 「近畿圏は中部圏に抜かれてしまった。社会資本整備の必要性は国内外で証明されている」と語った。講演 には官公庁や各自治体、建設業者、一般市民ら約1,300人が出席。 講演に先立ち、近畿地方整備局の布村明彦局長が「日本がアジアの中で役割を果たしていくためには、国際 的競争力に直結する物流のネットワーク拡充が重要。しかし、近畿のインフラ整備では、道路が繋がってい ない。国家的戦略としても、社会資本整備はしっかり見つめていかなければいけない」、また、奈良県の荒 井正吾知事が「平野が少なく、河川も中央部は大和川一本で治水の面で課題が多い。土地利用の面でもハン ディキャップがある。奈良県は社会資本整備に欠かせない県であり、近畿のためにも頑張っていかなければ ならない」とそれぞれ主催者、来賓を代表してあいさつした。谷口技監は元近畿地方整備局長。その時に掲 げたキャッチフレーズが「近畿の再生なくして、日本の再生なし」。今回の講演でも「その気持ちは、いま もって変わらない」と語った。 講演では、まず、ある機関によるアンケート調査を参考に国民が抱いている公共事業のイメージとして、 「コストが高すぎる」「ムダなものをつくっているのではないか」「発注者は政治家、ゼネコン」と答えて いる人が多い結果に「国民の誤った先入観がある」と指摘した。今年は重要な年と位置付け、国土形成計画 の策定、社会資本整備重点計画の次期重点計画(2008年から2012年度)の策定、道路特定財源の見直しに関 する具体策が検討されている現状を紹介。「これで日本の形が決まる。国土形成計画の広域地方計画では、 近畿の魂、環境や自然をどう活かしていくか。道路特定財源の見直しも、7月ごろに素案が出され、年末に は決着するだろう。その中で、具体的に真に必要な道路も見えてくる」と述べた。 真に必要な社会資本整備の推進に欠かせないないのが公共事業関係予算。しかし、公共事業関係費はピーク 時の1998年度14兆9千億円(補正後)から今年度は6兆9千億円(当初)と半分以下に落ちた。「改革と展 望」以降の6年間の削減状況は、2001年度48兆7千億円(当初)から今年度47兆円(当初)と、1兆7千億 円削減された。社会保障関係費が3兆6千億円伸び、公共事業関係費2兆5千億円(26.4%)削減されてい るという。「この削減額は、他の一般歳出の主要経費に比べて格段に大きい」と、公共事業関係予算の削減 がすでに限界に達している現状を語った。 海外のインフラ整備はどうか。まず、中国・上海の道路整備率は85%に対して、首都圏は38%。上海港(マ イナス16m級バース数)は供用中九、計画43。首都圏は供用中二、計画三。「これでは国際競争力で勝てな いし、勝てる見込みもない。アジアの中で存在感を高める上で不可欠な大都市圏のインフラは、近隣諸国に 比べて不十分」と断言。 国内では「中部圏が近畿圏を抜き去った」と。万博や中部国際空港の開港などで、高速道路のネツトワーク が拡充され空港・港湾と直結された。工業団地は17箇所あり、トヨタをはじめ産業の立地が進んでいる。ま た、東海豪雨災害(2000年9月)で、716億円の事前投資で約5,500億円の被害軽減を図った事例を紹介。 「公共投資の必要性は、国内外で証明されている。インフラ整備は、早ければ早いほどいい」と力説した。 公共投資戦略は、アメリカ、イギリス、フランス、中国、韓国などは社会資本整備を積極的に進めており、 関係予算も右肩上がりで増加。「アメリカは議会の力が強く、日本とは逆。イギリスも10年で五倍に増え た。日本は半分以下。これで日本は果たして勝てるのか。日本はギアチェンジしても追いつけるかどうか。 せめて公共事業関係費がマイナスということだけは避けてほしい。いまこそ社会資本の整備を促進させなけ れば、次世代の人々に申し訳けがたたない」と語った。 この後、入札契約改革、厳格な事業評価の実施、総合的なコスト縮減の取組み、落札率の推移と低下に伴う 工事の品質への影響などにもふれ、「官民が共通の大きな価値観を持って新たなパートナーシップを築き、 社会資本整備を進めていくことが重要だ」と強調した。
2007年06月19日
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