近畿整備局の河川整備計画原案
【写真】原案について検討する委員 冒頭、あいさつに立った宮本委員長は原案の計画内容について、「Plan(計画)、Do(実施)、Ch eck(点検・評価)、Action(処置・改善)としたのは評価できるが、基礎案と異なっているのは 防災。 双方の考え方に大きな違いがみられる。これが大きなテーマになる。 今後は本格的な核心の部分に入っていくわけで、しっかり議論していきたい」と語った。 □□□□□ 下流も含めた全体の安全対策を □□□□□ 近畿整備局は、治水・防災対策で、計画規模の降雨に対して計画高水位以下で安全に流下させるために中流 部の流下能力を向上させること(戦後最大洪水まで安全に対応)、また、中上流の改修が下流に負担をかけ ないよう上流で洪水調節を行うという上下流、本支川のバランスに基づく治水対策に重点を置いて原案を策 定した。 今回の同委員会でもハード対策とし、最優先で実施する堤防補強、戦後最大洪水を流下させる河道掘削など を挙げ、具体的に淀川本川、宇治川・桂川・木津川などの流下能力、各河川で破堤した場合の浸水想定、亀 岡地区での河道改修計画、天ケ瀬ダムの放流能力の増強対策(再開発)などを示した。 大戸川ダム建設の「当面実施しない」から「実施する」に方向転換した点についても、「天ケ瀬ダムの2次 調節に必要となる洪水調節容量を確保することを目的として計画されたものであり、天ケ瀬ダムが適切に2 次調節を行うためには必須の施設」としている。 近畿整備局から治水対策の考え方を示された委員からは、「納得できない。戦後最大の洪水や計画規模の洪 水だけに対応していては、安全は確保できない」とした厳しい意見が多く出された。 ■防災に詳しい河田惠昭委員(京都大学防災研究所巨大災害研究センター長)は「ハード対策ばかりに重点 が置かれ、ソフト対策が欠落している。 必ず起こる東南海・南海地震や想定外の洪水に対する安全対策、下流の安全対策、また雨量も書かれてい ない。 全体的な被害を少なくするためにはどうすればいいのか、この原案では視点が見えてこない。 危機管理についても不十分。安全はテクニカルに数字で表せる。その検討結果を出してもらいたい」と語 った。 ■宮本委員長も「計画規模だけでチェックすれば大丈夫だとは言えない。これまでの議論してきた内容とか け離れている。過去の特定の洪水を想定した計画であってはならない」と厳しい見方をしている。 なお、橋爪紳也委員(大阪市立大学都市研究プラザ教授)が辞任。補充を行う。
2007年09月10日
▌トピックス
▌新着建設ニュース