BCS関西の大規模現場見学会 京大稲盛記念館新築現場
この後、作業所スタッフから工事概要と作業ポイントの説明を受けた後、山本所長らの案内により現場を見 て回った。建物は西ウィングと東ウィングで構成され、特に西ウィングは、鴨川沿いに南北に伸びる長さ 121.94mで、そのファサードは前面に真竹の植栽を施しながら「竹」をイメージしたものとした。 竹を表現する極細断面を実現するのが極細S柱。1階のPCa柱の直上に2層分の極細S柱を建てたもの で、PCa柱を支える基礎にはPCa柱用スリーブ継手(プレグラウト工法)を採用。また、PC合成床版 を採用することで、梁を少なくした大空間フロアも実現した。外壁はコンクリート打放しクリアフッ素塗装 仕上げとしたが、実施工に際しては実大試験体(モックアップ)による事前検証を行っている。事前検証で は、本実打放し(杉)と、ベニヤ打放し出目地(ベニヤ小口とブラ目地)の3種類のモックアップで打設方 法を検証している。 さらに、長大建物におけるひび割れ制御対策としては、通常、EXP・J(エクスパンション・ジョイン ト)を用いるが、同工事ではデザイン上からEXP・Jを用いず、躯体に収縮帯を設置。当初予定2カ所か ら4カ所とし、収縮帯間の構造躯体の収縮量を小さくすることで、建物全体の長辺方向の膨張収縮によりひ び割れ発生の抑制効果を高めたほか、膨張材や収縮低減剤、耐力壁のひび割れ制御のための鉄筋挿入工法を 採用した。 これら取り組みのうち、PCa柱や収縮帯の設置数などは、当初設計から施工時に変更されたほか、現場が 大学構内であることや、作業スペースに起因する制約が課せられる現場となっている。 工事は、2007年9月に既存施設の解体撤去からスタートし、同11月から建築工事に着手した。現在は屋根や 外装・内装工事を実施中。竣工は今年10月31日の予定。進捗率は約72%で、約11万時間に及ぶ無事故・無災 害記録を継続中。
2008年07月14日
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