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最近の建設業をめぐる情勢について 国交省・小澤審議官が講演

 地域業者を評価すべき  ‘最近の建設業をめぐる情勢について’をテーマに、国土交通省の小澤敬 市・建設流通政策審議官の講演が13日、大阪市内で開催された。大阪府中小 建設業振興大会の記念講演として行われたもの。講演で小澤審議官は、過当 競争やダンピングによる弊害を指摘しながらも、地域建設業が果たしている 役割を「もっと評価すべき」と強調。また、「現在の不況は最悪の状態」と しながら、2008年度補正予算の年度内発注や2009年度当初予算の早期発注な どを示唆した。 現在の経済情勢について小澤審議官は、「自身も経験がない」とし、世界全 体で見た場合、「各国と比べ日本が最悪の状況に陥っている」と述べ、建設 業では従来、不況の影響は遅れてやってくるが、「今回の不況は進行性の早 いものとなっている」と分析した。 公共投資はピーク時(平成4年度)と比べ61.6%となり、建設業者数も60万 社から58万社へ、就業者数も685万人から537万人へ減少しているが、公共投 資額の削減率に比べては「業者数が減っておらずバランスが崩れている」と し、大阪府においては全国比19%減に対して25%減と、「全国平均を上回る 厳しい状況」と指摘した。
業者の供給過剰について小澤審議官は、米国の入札例を上げ「1件の入札に平均4.6社が参加し、落札率は約 93%。全体でも一件の工事には五社程度が参加し、落札率でも90%以上」であり、これに比べ日本の場合、 過当競争とダンピングなどの課題も抱えているとし、参加者が多いから競争性が高まるものでもなく「実施 的には中身が重要」との見解を示した。 ダンピングについて小澤審議官は、安ければ良いとか、参加者が多いだけの競争には否定的な見方を示し、 「社会資本という国民の財産をつくるためには、コスト意識を持つことは必要だが、それだけではだめ。発 注者も配慮する必要がある」としながら、ダンピング防止には「発注者だけでなく業界側も考えていかなけ れば」と、官民相互で解決すべき問題だとした。 来年度の公共事業費に関しては、2008年度1次・2次の補正予算、2009年度当初予算を一体予算として見れ ば「20年度当初比4.7%増となる」とし、補正分では今年度内には75%を、当初予算も早期に「前倒し発注す る」意向で、これに伴い入札契約手続きの簡素化と迅速化に務めるとした。 一方、厳しい環境下にある地域建設業への対策として「入札契約制度の改革」「資金調達の円滑化」「経営 力強化」を挙げた。特にくじ引きが多発するなど「弊害が出ている」とする予定価格等の事前公表は、ダン ピング対策の観点からも見直していくとし、既に最低制限価格を引き上げた長崎県と佐賀県の取り組みを紹 介しながら、地方自治体では、「建設業が地域の雇用を確保しているとの認識が深まってきたのでは」と、 これらの状況が広まることに期待を寄せた。また、「ここ数年間、公共事業はある程度回るだろう」としな がら、林業など従来にない公共事業の中で、「建設業が果たす役割があるはず」として、異業種と連携する 中でのビジネスチャンスを探ることも有効であると示唆した。 講演ではこのほか、国交省として取り組む「日本牽引」プロジェクトや「社会資本重点整備計画」の紹介な どが行われ、結びに小澤審議官は、「建設業は地域の基幹産業として重要な存在。地域経済、雇用を担って いることをもっと評価されるべきだ」と述べ、国土をつくることは非常に大事なことで、「夢のある仕事」 だと強調した。
2009年03月23日
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