枚方宿地区、町屋情報バンク設立
"活性化"へ始動 枚方宿地区は京阪・枚方公園駅下車、西へ徒歩5分。西見付きから市駅方面へ歴史街道が続き、日本瓦の傾斜 屋根に白壁の昔ながらの町家が軒を並べている歴史的なまち並みと恵まれた自然を併せもつまち。街道沿いの 大きな敷地には古い建物や間取り・設備が多く、若い世代には住み難い環境とされ、若者の町外転出が起こっ ていた。また、地区内には空家や空地が増え活気が失われつつあると危惧されていた。そこで協議会で考案さ れたのが、土地・建物所有者と利用したい人をつなぐ仕組みをつくる「枚方宿町家情報バンク」の設立だ。設 立記念フォーラムは、「町家情報バンクの可能性と枚方宿の活性化」をテーマに開かれ、パネルディスカッシ ョンを通じて実践的で効果のあるまちづくりのあり方を考えた。コーディネーターを高田教授が務め、大阪王 将のチェーン展開を中心に外食産業で活躍するイートアンド(株)の文野直樹代表取締役社長、恩地食品 (株)の恩地宏昌代表取締役社長(協議会幹事)、藤田社長、早川久春同協議会相談役(初代会長)、呼人堂 の田中誓子代表(協議会会計)の五人をパネリストに迎えて熱く議論を交わした。 この中で枚方宿の活性化に向けて文野社長は、豪放磊落な商売人気質をもった昔のくらわんか精神を、枚方宿 で再構築したいという観点から、「新世代くらわんか〜人が集まる魅力的なまち〜」をコンセプトとするひと つのプランを示した。歴史的建築の伝承ありきの上で、プランの焦点となる「商店」と「情報」の重要性を説 き、枚方で育った食文化の店舗展開をメーンに若い世代のトレンドを知るクリエイターや教育機能をもったテ ナントの誘致、エコロジーを大切に思える人のルール決め、子供たちがのびのびと遊べる安全で安心な公園づ くり、人を呼べるイベント開催などの構想を説明した。また「収益なくしてまちの発展は望めない」と訴え、 「情報バンクを通して昔のくらわんか精神をこのまちに根付かせたい」と力を込めた。このプランに手応えを 感じた高田教授は「新世代くらわんかというコンセプトがひとつのキーワードとして、枚方宿地区の活性化に つながればと思う」と述べあと、パネラーの方々に私論を求めた。「新世代ということで若い世代が自己表現 できるまちになれば」(恩地社長)、「枚方は歴史あるいいまち。若者の商売を応援していきたい」(藤田社 長)、「情報バンクの発足を心から感謝している」(早川相談役)、「皆様と一緒に生きたまちをつくること ができれば幸せに思う」(田中代表)と、新たなまちづくりへの展開にそれぞれ思いを言葉に込めた。 また、枚方宿で商売を考えている人へのメッセージとして、文野社長は「まずは商売の王道、本物を売るこ と」とアドバイスし、恩地社長は「世界的なTSUTAYAも、大阪王将も、私ども恩地食品も枚方が創業の 地。大きなビジネスへ発展する可能性の高いまち」と枚方の良さをアピールした。また、藤田社長は「情報バ ンク発足の機会を捉えて、まちを絶対に再生したい」と枚方宿地区の活性化を誓った。さらに早川相談役は 「商売をされた以上は長く続けてほしい」といい、田中代表は「自分を信じて素早く行動してほしい」と語っ た。最後に高田教授は、これからの情報バンクの活動として、広い情報の発信、使える町家の確保、町家を借 りたい方への登録制度の実施、町家や建物を貸したい方や借りたい方のバックアップ体制の構築ーの四点をあ げた。また高田教授は、「様々な組織と人の力をフルに活用しながら、着実に情報バンクの体制を整えたい。 新世代くらわんかがまちの形として実現することを心で確信した」と話した。パネルディスカッションに先立 って、高田教授による基調講演が行われたほか、陶芸家の坂本光枝さんと高田教授による対談、柏原ヤツヨシ と枚方ジャズメッセンジャーズのJAZZセッションが披露された。 高田教授の話=各地で町家等の保存再生が叫ばれている。枚方宿では地元のまちづくり協議会から、町家情報 バンクという確かな仕組みが生まれた。地元の有力企業や行政、まちづくりの有志たちが全面的にバックアッ プしてくれるので、新しいまちづくりの動きとして期待は高い。全国の歴都市や伝統的建造物群保存地区のモ デルケースになればと思っている。
2006年04月07日
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