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シンポでEH社の危機管理室室長真霜氏らパネルで討論

欠陥住宅問題に関する相談や法令問題などに対して、建築士や弁護士、学者な どで組織して取り組むNGO団体の「欠陥住宅被害関西連絡協議会」(略称・ 欠陥住宅関西ネット)は3月25日、大阪市中央区の中央会館で総会並びにシン ポジウムを開催した。シンポジウムでは、「耐震偽装問題と制度改革」をテー マに、国会で同問題を取り上げた民主党の馬渕澄雄・衆議院議員の講演と、建 築確認審査機関のイーホームズの担当者らによるパネルディスカッションが行 われた。 シンポジウムには会員はじめ一般から約60人が参加した。パネルディスカッシ ョンでは、堺市建築局の石黒一郎氏、イーホームズ社の真霜典郎・危機管理室 室長、建築士の木津田秀雄氏、弁護士の重村達郎氏をパネリストに、弁護士の 田中厚・関西ネット事務局長がコーディネーターを努めた。 【写真上:パネル討論会/下:約60人が参加したシンポジウム】
《耐震偽装問題と制度改革》 初めに、木津田氏から耐震偽装事件についての経過報告が行われた。この中では、確認検査業務の民間委託以 前から偽装物件があり、姉歯元建築士による最初の偽装物件も民間委託以前であることなどが指摘された。真 霜氏は、イ社と姉歯元建築士との関係について2002年から始まったとし、偽装が行われたとする姉歯物件97件 のうち、「37件がイ社の物件」であったと述べ、「当社以外での偽装物件を知ったのは平成設計から渡された 一覧表から」であったとした。今回の偽装の手口は、構造計算ソフトの入力データの数値を変更したものであ り、イ社の審査体制は国土交通省のマニュアルと東京都と横浜市が使用しているチェックリストに基づくもの であるとし、真霜氏は「見抜く力がなかったと言われれば仕方がない」としながらも、行政機関も含め他社も 同じ手法で実施しているとした。これに対し石黒氏は、大阪府では独自の構造チェックリストを作成してお り、さらに「堺市では申請書と図面の比較検討を行っており、部材リストと構造計算の突合せを実施してい る」とし、併せて完了検査と中間検査を行っているとした。確認検査業務の現況について石黒氏は、「審査の 厳しさが利益向上にはつながらないのでは」との見方を示し、住宅メーカーの事例を上げながら「審査スピー ドが早い機関に集中する」とした。また、行政の審査体制は消極的で、「完了検査でも申請が来るのを待って いる状況」と問題点を指摘。 木津田氏は、「今回の問題が行政側の機関で最初に起こっていたら公表されていたかどうか疑問だ」と疑義を 呈しながら、建築士側も「施工者の言われるままなっているのが現状」であり、「職能としての理念を持つ必 要がある」とした。重村氏は、「今回の問題はそれぞれの段階における専門家の不在、もたれあいといった構 造的体質から起きたもの」とし、建築士の独立性が担保されておらず、大手ゼネコンでも丸投げ、工事監理の 形骸化などがあり、「第2、第3の姉歯がいてもおかしくない状況にあった」とし、官民問わずチェック体制 がなかったことが問題だと指摘した。また重村氏は、構造の専門家が行政庁にいないことに触れ、「民間開放 が今回の問題の原因ではない」とし、当面は審査の厳格化や中間検査の義務付けを上げ、「制度改正も必要だ が、基準法はあくまで最低基準であることを認識すべきだ」とした。これに対し真霜氏は、確認検査業務が 「法が未整備のままスタートしてことは確か」としながら、「審査スピードの早さなど、民間だから出来るこ ともある」と語り、石黒氏は「現在とは違う(確認検査での)市場を形成する必要がある」とした。 制度や法令改正については、「中間検査の義務付けやチェックシステムは必要」(木津田氏)、「設計施工の 分離、構造技術者の独立性確保は大事」(石黒氏)などの意見が上がり、重村氏が「チェック体制の明確化は 重要であり、罰則強化も有効と思う。建築士の独立性を保つためには設計と施工の分離が必要だが、ゼネコン 設計部のあり方が課題となってくる」とし、今後も議論の余地があることを示した。
2006年04月04日
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