道路トンネル分岐合流部構築『ウィングプラス工法』を実用化

ウィングプラス工法は、シールド胴体部からアーチ型掘進機を張り出し、道路トンネルの構築と同時に分岐 合流部の拡幅施工に必要な防護工(先受けアーチシェル)を造成する工法です。その主な特長は下記の通り です。 1.高剛性の先受アーチによって周辺地盤の緩みを防止するため、地表面沈下の抑制効果が大きい。 2.トンネルに沿って連続的に先受アーチを造るため、高い止水性を得ることができる。 3.シールド掘進しながら同時に先受アーチをつくるので、防護工の工程を約25%短縮することができる。 4.先受アーチを造成することにより大規模な地盤改良を省略するため、切り拡げの工費を20〜35%低 減することができる。 実証実験では、二分の一から三分の一の大きさの実験機を製作いたしました。この実験機を用いて、 1.アーチの掘削、2.先受けアーチの打設、および、3.アーチ型掘進機の姿勢制御、といった主要な3 つの技術課題について、実施工に近い条件で実証実験を行いました。 アーチの掘削実験*注3では、今回新たに開発したアーチカッターを用いて軟岩の模擬地盤を掘削し、カッ ターの掘削性能を確認いたしました。 アーチの打設実験*注4では、大深度地下における施工状況を再現するため、0.5MPaの水圧が作用す る土槽を準備いたしました。その土槽内において先受けアーチコンクリートを打設し、アーチの品質・強度 に問題のないことを確認いたしました。 アーチ型掘進機の姿勢制御実験*注5では、アーチ型掘進機の模型にシールド施工時の変位と回転を再現し て与え、張出し部分に採用したパラレルリンク機構*注6により、リアルタイムの姿勢制御が可能であるこ とを確認いたしました。 これらの実験の結果をもとに、カッタービットの改良やアーチ打設方法の見直しなどをおこない、実用化に 向けた技術課題を解決いたしました。3社では今後、大都市圏の道路プロジェクトを主なターゲットとして 、同工法の営業展開を図ってまいります。 注1)ウィングプラス工法: Wing−PLAS工法。Wing−Pre−Lining Arch Su pportの略 注2)ウィングプラス工法の開発に関するプレス発表:2004年10月29日 注3)アーチカッターの掘削性能実験 注4)先受けアーチの打設性能実験 注5)アーチ型掘進機の姿勢制御性能実験 注6)パラレルリンク機構: 上下、左右、前後、ピッチ、ロール、ヨーの6動作を自由に制御するための機 構。航空機のフライトシミュレータや産業ロボットなどに利用される。
2006年06月08日
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