JIA近畿・関西建築家新人賞受賞記念シンポジウム
シンポジウムでは、初めに木村博昭・審査委員長が審査経過と全体の講評を行った。審査のポイントについ て木村委員長は、「作家性を重視した」とし、玉置氏については、物語性と空間体験の重要性の観点から、 荒谷氏に関しては、徹底した建築ものづくり対するこだわりを挙げ、「それぞれ、今後の活動に期待を込め て受賞となった」と報告した。 続いて受賞者による作品紹介が行われ、荒谷氏が「TRAPEZOID」、玉置氏が「トウフ」と、それぞ れの受賞作品についてスライドを交えながら解説を行った。荒谷氏の作品は、陶芸アトリエを併設した自邸 で、敷地段差を利用した四層三階建てで、「大きなボリュームは外部から、細部は内面で」とコンセプトを 述べ、素材に関しては一般的で見慣れたものに手を加えることで面白いものができないかー、「建築の格に 対し、素材のヒエラルキーはないはず」との思いが込められているとした。 玉置氏の作品は、老後を夫婦二人で過ごすバリアフリー住宅で、独立後初めて手掛けた住宅。中国ヤオトン の竪穴式住居をヒントに、「敷地の上に白い塊を置き、彫りぬく形で作っていった」とし、中央に居室、周 囲にキッチンなどを配することで動線をなくしたとした。 この後、審査委員を務めた写真家の宮本隆司氏と建築家の山口隆氏が、それぞれ講評を行った。宮本氏は、 荒谷氏の作品について、「二重、三重と奥の深い建築」とし、玉置氏の作品は、「やりたかったことが出来 た良い建築」と評価。山口氏は、建築に対する両者のアプローチは「ぜんぜん違う」とし、荒谷氏は「形式 にこだわりながら素材に反応したもの」、玉置氏は、「施主のニーズの取り入れに苦労している」と分析、 両者の印象として「形式を求めたが素材に対する執着心を感じた」と評した。
2008年05月15日
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