超高層建物内部の揺れを検証 兵庫県らEーディフェンスで実験
実験では、5階建ての鉄骨試験体に、高齢者が居住する介護室やフローリング床のリビングや和室、オフィ スなどを設け、それぞれに食器棚やたんす、本棚、移動式書庫などを配置し、市販のつっぱり棒や、天井と 壁、床への固定金具などを正しく取り付けた状態と、誤って使用されたケースなどを想定して行われた。地 震規模はマグニチュード8・3を想定。神戸市内の震度は六弱とし、阪神・淡路大震災より弱いものの、長 周期では約2倍、最大加速は450ガル、揺れ幅は左右1・5mの計3m。振動時間は約3分間で実施され、そ の間、家具の移動状態や転倒の様子が見て取れた。 実験結果では、固定した家具としなかった家具との差が明らかになった。特にキャスター付のコピー機は、 1秒間に250?の速度で移動し、それにより他の什器を破損させる度合いが高かったこと、畳はしなりが生じ 家具が転倒する場合があることなどが実証された。一方、本棚や移動式書庫では連結することで転倒防止の 効果があったことや、家具と家具を背中合わせに配置すること、固定金具なども複数で使用すると効果が高 くなることが判明した。 実験終了後、兵庫県と防災科学技術研究所の担当者らが会見を行った。この中で、兵庫県災害対策局災害対 策課の城戸史郎・防災技術参事は、「対策を講じた場合と講じない場合ではやはり違う」と指摘、特に家具 の前すべりの防止には天井と床を固定すれば効果が高いーとし、今後は「建築と設備が協力して取り組んで いく必要がある」とし、設計段階からの取り組みも必要だとした。 今後、今回の実験を映像資料とともにまとめ、家具等の転倒防止に向けた有効な固定方法等の啓発活動に活 かすとともに、長周期地震動による超高層建物内部の安全対策にも活用するほか、兵庫県では、県の地震防 災施策にも取り込んでいくこととしている。なお、実験は4日から3日間にわたって行われたもので、6日 の公開実験には市民ら約250人が参加した。また、実験に当たっては、静岡県や東京消防庁などの協力を得て いる。
2009年02月13日
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