耐震偽造問題の本質に迫る
《場淵衆議院議員が講演》 偽装問題は当初、姉歯元建築士の自白から、「同元建築士とそれに係わる確認検査機関の不手際による問題」 として決着する流れになりつつあったが、馬淵議員は、調査を進めるうちに当初報道されたような「一人の建 築士の手によるものではない」との確信を持ったとした。馬淵議員は、偽装マンションの住人はじめ確認検査 機関、関係者らに接触して様々な情報を入手。これら調査を進めていく中で、平成設計から木村建設、総合経 営研究所のラインが浮かび上がったことを報告。さらに12月の証人喚問の前に重要な情報を入手、それが証人 喚問で明らかにされた「四ヶ所メモ」であり、これにより耐震偽装問題は確認検査機関のあり方や建築士の資 格問題にまで波及することとなった。 《設計施工の役割分担、責任明確化を》 一方で馬淵議員は、偽装マンションの取り壊しや建替に絡む補償金問題にも言及。国土交通省は50億円の公的 資金投入を決めたが、現行制度では住民に新たな負担を強いる上、ビジネスホテルには適用されないなどの欠 点を指摘。「国も責任の一端を認めたのであれば特別立法でやるべき」と強調した。これら問題の根幹として 馬淵議員は、「問題の本質は現行の法制度にある」とし、建築業界特有の多層構造はじめとする「業界の構造 的欠陥を見過ごしてきたことが問題」と重ねて指摘。時代に即した建築基準法の抜本的改正が必要と訴えた。 特に、建築確認業務の民間開放について行政側の見通しの甘さを上げ、「姉歯物件以外のいわゆる非姉歯物件 での偽装がそれを照明している」とし、「不完全な状態での検査業務の規制緩和は関係者の責任」と制度上の 不備を指摘した。現在の法制度では、「確認申請での偽装を見抜くのは無理」とする認識がある中、馬淵議員 は確認審査制度の見直しと建築士の資格のあり方についても疑義を示し、特に設計と施工、工事監理の役割分 担が必要ではとし、責任の明確化や業界の多層構造、設計・施工一括の見直しを上げた。 建築基準法改正については3月31日、違法行為に対する罰則強化などを盛り込んだ改正法が成立したが、馬淵 議員は「建築士の資格については見送られた」と述べ、現行制度そのものに欠陥あるとして、その担保として の責任保険や性能保健なども議論の余地があるのでは―との見解を示した。問題への取り組みについては、 「建築士の名誉とこれまでの実績を守るため」としながら、調査中には情報提供者らに対する様々な「無言の 圧力」を感じた―と打ち明けた。
2006年04月06日
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